1-純正レプリカ・リジッドフレーム
2-74スプリンガー・フォーク
3-スポーツスタータンク・キャップ位置加工
4-フォグランプ流用ライト
5-3インチ・ドッグボーンライザー
6-ドラッグバーハンドル
7-リブフェンダー
8-オンオフ・シッシーバー
9-ゼロ製サドルシート
10-SUキャブ・ファンネル
11-ワンオフ・ドラッグパイプマフラー
12-1.5インチベルトドライブ
13-ノンロッカークラッチ
14-ミッドペグ
15-タンクサイド・ハンドシフト
16-F/R メカニカルドラムブレーキ
17-F/R リム・スポーク パウダーコート
18-F/R コッカー製ホワイトリボンタイヤ
19-布巻き配線処理
20-ブラウン/マーブライザーペイント


スーパーグライド・ファットボブがベース車輌ですが、その名前が意味を成さないぐらい、1979年にミルウォーキーの工場で製造されてから残っているのは、ショベルエンジンとミッションのみと断言してもよいほどに手を加えられたショベル・チョッパーになります。
純正レプリカ・リジッドフレームに74スプリンガーフォーク、前後16インチのホワイトラインタイヤなど吟味され選択したパーツから感じられるように日本のカスタムシーンで人気の高い、旧車のスパイスをたっぷりと練りこんだスタイルです。
ここでちょっと、なぜ旧車という存在が21世紀の現代日本でクローズアップされるのか、なぜショベル人気が高いのかを芸術大学出の筆者がデザイン学的に考察してみましょう。
当時のモータープロダクツは、現代の工業製品には無いビンテージ独特のチャーミングでエレガンスさを秘めています。コストパフォーマンス重視のプロダクツではない職人のこだわりが垣間見れるデザインです。だからビンテージバイクは、ディテールと豊かな感性に溢れているのではないでしょうか。ただ、一方でモダンなプロダクツにはモダンなりの魅力があり、それはハイテクの魅力であり乗り心地の良さと機能性に富んだ魅力です。
高性能な日本車の代行による、自社の存続の危機など時代に翻弄されながらも、古きよき設計の最後の直系のエンジンといわれるショベルには、ビンテージの誠実味とモダンのテクノロジーの両方を兼ね備えた魅力があるのではないでしょうか。どっちつかずの危うさは含むものの、今日の日本のカスタムシーンでのショベル 人気を考えると、タイムレス、時代感のなさ、というのが鍵なのかもしれません。
例えば、今回のショベル・チョッパーは、かなりクラシックな造りですが、機能的でタイムレスな一面も持っています。ビンテージなルックスではあるけれど、特定の時代には属さない。20年後でも十分に通じるデザインであり、逆に1940年代にタイムスリップしても通じる。シンプルだけど、厳格すぎない高級だけどシンプルなデザインです。ショベルなら実に違和感なく溶け込める、温故知新が信条の日本ではマッチしたデザインのチョッパーであり、それゆえデザイン全体がモーターサイクルの信念を表現しています。コンテンポラリーやモダン、ビンテージやクラシック、その両面にインスパイアされ、両者を融合させたのがビンテージ・ショベルスタイルなのでしょう。
シックス・モーターサイクル は自身が好きなものから得る直感を信じて製作をする、流行よりも、自分の直感を信じて行動をします。誰にとっても直感はとても重要ではありますが、特にカスタムビルダーと呼ばれる職業にとって、直感と感情、そして技術そのものがカスタム・バイクに反映されます。もちろん、自分のやっていることに情熱を感じる人はビジョンがはっきりしていて、創造力に満ち溢れているでしょう。シックスの情熱は、いつでも職業、つまりデザインだけでなくバイクのメンテナンスなどを含めたモーターサイクルプロダクツのプロとしての行動を表現できる活動に向けられています。だからこそ、カスタムチョッパーなど、手掛けるものすべてにシックス・モーターサイクルの個性が反映しているのだと思えます。誰にとっても、これこそがシックス・スタイルだと解るようにです。
どうでしょう、大学のレポート的な構成にしてみましたが、誰にとっても解りやすい内容だったのではないでしょうか。もちろん、デザイン的なアプローチだけでは語りつくせない深さがあるのがハーレーなのですが、ここまで人気の高いハーレーの魅力の一端であることは間違いないでしょう。見て良し乗って良しのハーレーダビッドソン、あなたのハーレー論はどのようなものなのでしょうか。ぜひ、聞かせてほしいものです。


往年の旧車チョッパーをイメージさせる3インチ・ドッグボーンライザーに曲がりの少ないドラッグバー・ハンドル。スイッチ類を一切省いたシンプルなハンドル廻りです。ややアウトローな雰囲気も欲しかったのでスロットルは簡易な外付けタイプ。その時の気分しだいでハンドルをちょいちょい頻繁に交換しますよ的なノリを表現しています。

スポーツスタータンクは雰囲気のある純正レプリカフレームの鋳造的な構造を殺さないように取り付け位置を斜め前方にレイアウト。ちょっとした遊び心でハマータンクのようなイメージを表現するためにキャップ位置を片側に移動させました。写真では解りづらいですが、タンクペイントはブラックベースにブラウン系のマーブライザー処理を施したエレガントなイメージ。


1340ccのショベルエンジンは耐久性を考慮してノーマルの状態を維持するようにオーバーホールを施しています。ショベルはノーマルでも必要十分なパフォーマンスを持っていますから、過激なチューニングは無用です。吸気系はSUキャブにファンネルを装着、排気系は旧車風にフレーム下から取り廻されるため、車高を調整するためにフロントパイプのみ加工を施したブラックペイントのドラッグパイプ・マフラーを製作しています。

旧車のニュアンスを感じさせるためにワンオフされたタンクサイド・シフト。エンジンのセンターにシフトレバーを持ってくるとハイテック・チョッパーのイメージが出てしまうのを避けての選択です。ノンロッカー・フットクラッチとオープンベルトは軽装感のあるチョッパーイメージを演出するための王道ですね。しかし、旧車ならプライマリーカバーは薄いスチール製なので却ってそのまま残している方が雰囲気があったりしますけど。


フロント廻りは、動作性能よりビンテージの雰囲気を優先させた結果、ごっそりと74スプリンガーに交換、メカニカル・ドラムブレーキに、旧車チョッパーでよくあるように、16インチホイールはスポークごとパウダーコート処理を施し、クラシックなパターンのホワイトリボン・タイヤを履かせました。小振りなカタチの良いフォルムのライトはフォグランプを流用したもので、レンズカットの無いライトです。

フロントと同じくリア廻りもドラムブレーキにクラシックパターン・タイヤと同仕様で揃えました。リアの細身なチョッパーをイメージしてリブフェンダーを選び、オンオフされたシンプルなシッシバーで固定、チョイ悪なイメージでそれに沿うようにビレットタイプのブレーキランプとウィンカーを並べて配置しています。ソロシートはゼロ製のレザーサドルシートをスプリング・マウントしたもの。


MAR .2009