1-F/R 16インチ
2-ホイール/パウダーコート
3-ワイドグライド
4-5.5インチ・ベイツタイプライト
5-ディオグライドバー
6-ワイド・マスタングタンク
7-ピットブル・ソロシート
8-ONE・OFF・2in1マフラー
9-SUキャブ
10-ヒンジ・フェンダー/一部
11-オリジナル・フェンダーストラット
12-ミッドコントロール
13-VLテール


さて皆さんは、ロコボーイというネーミングを知っているでしょうか。語源はローカルボーイからきており、要するに地元民(田舎者)といった意味らしいのですが、大陸たるアメリカではそのほとんどがその対象になるはずなのに、メインランドから外れた土地特にハワイの島民たちが、ある時は自嘲的に、またある時は誇らしげに使うという文章を昔の雑誌で読んだ記憶があります。そして、現在ではすっかりその名前が廃れてしまったカスタムスタイル、その名もロコボーイ・スタイルを今回のカスタムの手法として製作しましたが、そういった自虐的なニュアンスも含まれていると思っていただけると、また違った視点でこのカスタムを見れるのではないでしょうか。
そして、ロコボーイ・スタイルのカスタムのポイントとしては、FL系のフォルムを崩さぬようにデコレーションを外し、前後のショックをローダウン化するといったところ。それなら、以前よく流行ったストリップ・スタイルと同じではないかと思われるかも知れませんが、それはそのとおりで実際、ロコボーイはあくまでも感じに過ぎず、明確な定義などありません。さらにモノの本には「最も重要なのは気ままな日常での使用を、常に念頭に置くということ。」とあり、ますますストリップ・スタイルと同じではないかと感じさせる文章もありました。あえて言うならツアラーたるFLに、よりスポーティなベクトルを与えるというところでしょうか。しかしながらFXシリーズまではいかないところがミソで、旧車で言うところのボバーのニュアンスに近いものがあると思います。以前の日本のカスタムシーンではショベルが主流のスタイルでしたので、ボバーより気負いの無いもちっと気楽で明るいジャンルです。
今回はオーナーが女性ということもあり、ノーマルよりコンパクトで扱いやすいロコボーイ・スタイルはうってつけといったところなんですが、タイトルをよく見るとベース車輌は何故かFXE。FLのグライドフォークの付いたカスタムが欲しいと言うオーナーに対して、その時にスーパーグライドしか在庫が無かった事による珍事ではありますが、どちらかというとこれではFXEのスポーティさをオミットして鈍重化させてしまっています。これは逆の方向からアプローチして結果、同じスタイルに達するという禁じ手であります。本来のロコボーイの定義からは外れていますが、皆さんには大人の事情と言うことでここは黙ってスルーして頂きたいポイントであります。
ロコボーイ・スタイル人気を密かに復活させようという下心がチラチラと見え隠れしないこともありませんが、シックス・モーターサイクルとしても、ただ単に昔の手法を掘り出して焼き直しただけではなく、現在の手法も取り入れた21世紀の新しいロコボーイ・スタイルを打ち出したつもりです。当時は日本のロコボーイということでヤマト・ロコボーイなるネーミングがありましたが、今回は大阪の八尾市のロコボーイということでカワチ・ロコボーイと勝手に命名しています。人気が再燃焼するかどうかは全く期待出来ませんが、カワチ・ロコボーイ、堂々の公開です。


本来のロコボーイだと、スポーティーさを出すということでXRハンドルやドラッグバーなど幅の詰まったハンドルが多いのですが、女性オーナーだということも踏まえて力を加えやすい、幅広のハンドルをチョイス。ER製でその名も「デュオグライドバー」というちょっとテレがあるネーミングの製品です。スイッチ等はノーマルのスイッチボックスのマスター側だけを残し、そこに集中させるという懐かしい仕様。下手にスイッチを移設するよりラフな感じがしてイイと思いませんか。

タンクもロコボーイならノーマルの5ガロンか3.5ガロンを使用するといったイメージがありますが、今回は趣向を変えてマスタングタンクを取り付けました。ただし、あくまでFLイメージなのでワイド幅のモノを選択しているところがポイントです。カラーリングは落ち着いた雰囲気で、ソリッドなチョコレートブラウンなのですが、この写真だけ見ると昔雑誌で紹介されていた私のお気に入りのカスタムハーレーに通じるものがあり、ちょっと懐かしい想いにとらわれました。


素地とポリッシュに分けられたコントラストがマニアには堪らないショベルエンジンには、ロコボーイ全盛期には当たり前のように装着されていたSUキャブを選択して、排気系はエンド部分を跳ね上げ加工した2in1マフラーにショーティサイレンサーの組み合わせ。セレクトされた各パーツの気負いの無いラフさ加減が良いですね。ステップはシックスお得意のFX系ノーマル部品を流用したシンプルなミッドステップ仕様。これは構成部品も少なくてワンオフ感を全くイメージさせないところがこのようなローテク・チョッパーには特にお似合いです。

ロコボーイに新しいスタイルを取り入れたリア廻り。パンヘッドのヒンジフェンダーの後部分を加工したものですが、チップを含めビンテージかどうかは残念ながら不明。フェンダーを固定するストラットは今回のカスタムの目玉、シックスオリジナル・ストラットです。これは短いフェンダーをスマートにがっちりと固定できる優れもの。製品化されるかどうかは皆さんのリクエストに懸かっています。サイドマウントされたナンバーやVLテールは当時は一般的ではありませんでしたのでもちろん今風仕様。シートはピットブル製の高品質なレザーシートを取り付けています。


MAY .2009