1-レプリカ/VLスプリンガー
2-21インチスターハブ/ノーブレーキ
3-グリメカ・ブレーキレバー
4-4.5インチ・ライト
5-パウコ/3インチ・ライザー
6-パウコ/エイプバーハンドル
7-パウコ/2.2ガロン・ナローマスタングタンク
8-パウコ/ラウンド・オイルタンク
9-ワンオフ/ソロシート
10-5インチ・フラットフェンダー
11-ワンオフ/シッシバー
12-ワンオフ/ドラッグパイプ
13-PMキャリパー/2丁掛け
14-1.5インチ・ベルトドライブ
15-ノンロッカー/ジョッキーシフト
16-ミッドステップ
17-エンジン/ミッション-フルオーバーホール
18-S&S-Eキャブ/デン・キャブカバー
19-飴色塗装店


ひと目でシックス・モーターサイクル製作と判るこのチョッパーはもちろん、当店の基本概念「造りの良いスタンダード」をコンセプトに製作したもの。過去のギャラリーにも同じコンセプトで製作されたリジッド・ショベルが数多くあるが、多少の違いはあれど、シックスがチョッパーに対する首尾一貫としたストイックさというものをカスタムの根底に感じ取ってもらえると思う。
今回は1977年のショベルをベースにフレームをリジッド化、ビンテージスタイルのVLスプリンガーフォーク、さらにフロント・ブレーキレスとする代わりに、リアはキャリパー2丁掛けのディスクブレーキ採用というところに、ちょっぴりチョッパーのエグさを感じさせる組み合わせであるが、全体のフォルムはあくまでも古典的なチョッパースタイルで造作的に凝ったことはしていない。短くもなく長くもないフレームにほど良い長さのエイプバーハンドルとシンプルなシッシバー、ストレートなドラッグパイプもしかり、異論はあるかと思うが当店としては極々オーソドックスな部類に入る、シックス流のスタンダード・チョッパーを追求したカスタムとなる。
カラーリングも上質なダーク系カラーを基調としたもので、派手なバイクではないかも知れないが、細部の造り込みは繊細でボルトやステーの造作、取り付け方法、布巻き配線を多用した電装系の美しさなどはシックスの細やかな伝統が活かされている。
以前も同じことを書いたと思うが、雑誌やネット上でさまざまなスタイルのカスタムが混在する昨今、あえて改めて記してみようかと思う。曰く、むやみに人と変わったバイクを造るのではなくて、昔の手法でもこのやり方がベストだと思えばとことん突き詰めてみる。それが、いいものだったらどんどん真似して、一番優れていると思えるものを「スタンダード」とするのがシックス・モーターサイクルの考え方であると。


パウコの3インチライザーにやや高めのエイプバー・ハンドル。グリメカ・ブレーキレバーとグリップ以外はハンドルには付かない、これぞチョッパーとでも言うようなシンプルなハンドル廻り。ブレーキレバーはもちろんフロントはブレーキレスなのでリアブレーキ用のシステムである。

2.2ガロンのナローなマスタングタンクはパウコの製品を幅詰め加工無しで使用する。長年この業界で伝えられてきたスタンダードなフォルムであるからだ。ペイントはダーク系のフレイムス・パターンを、最近あちこちの雑誌で登場するようになった飴色塗装店にて仕上げてもらった。


エンジン・ミッションはフルオーバーホールゆえ、オーナーは当分の間は味わい深いショベルの乗り味をじっくりと堪能できるだろう。ミッション後部からリアタイヤにかけてのシンプルさは、やはりスイングアームタイプやソフテイルには無いものがある。マフラーは流行りに反してオーソドックスなストレート・ドラッグパイプをチョイス。最近はこのようなシンプルな形状のマフラーの方が、カスタム車ではかえって目立つようだ。

故佐藤氏と縁のある人物しか、手に入れることができなかったモーターサイクルデンの幻のキャブカバーが一般発売された。オリジナルは極少量生産でしかもガレージキット的な製品だったのでそれゆえ、入手方法・加工精度など、持ち主それぞれの個性が出たモノであった。それに比べるとこの製品は画一的で没個性なイメージが否めないが、オリジナルより数倍精度の高い完成品として、簡単に手に入る喜びは計り知れない。


社外の既製品で仕上げられた、ジョッキーシフトにノンロッカーシステム。さらには1.5インチ幅のオープンベルトといった組み合わせと、チョッパーとしては伝統のある完成度の高い必要最小限の仕様である。ステップはFX系のステップステーを流用したシックス得意のシンプル設計で、この仕様で左右併せてワンオフされるのは、ミッションにボルト止めされる台形のプレートのみである。

近年レプリカが発売されるまでは長年、ナックル以前の超ビンテージのオリジナルしか手に入らなかったVLスプリンガー。鋳鉄のリアレッグのカッコ良さは後のスプリンガーに勝るものがあったが、WLの45タイプスプリンガーより細いホイールシャフトの頼りなさには閉口したものだ。それに対してこのレプリカはロッカーの形状見直しによりシャフト径も太くなり、そのような問題点は払拭されている。


シンプルな車体に良く似合うワンオフ・ソロシート。製作はシックスがフェンダーステーを兼ねたスチールシートベースを元に、当店と長い付き合いのあるシート工房に装着するバイクをイメージさせるフォルムはもちろん、レザーの色味や質感、ステッチの形状など様々な打ち合わせのうえ決定される。もちろん、カタチも大事だが、「走る」バイクゆえ座り心地も十分考慮される。

シックスでも久しくなかった、フロント・ブレーキレス&リアディスクブレーキ・ダブルブレーキキャリパー仕様。装備されていてもブレーキ性能の著しく低い74スプリンガー・ブレーキに見切りを付け、リアのブレーキをハンド&フットの両方で操作できるように改良されたブレーキシステム。安心の制動力と共にフロントハブのなにも付かないシンプルさが実にアウトローくさくてカッコ良い。


NOV .2009