1-F21インチ
2-35φナローフォーク
3-グリメカ・ブレーキレバー
4-4.5インチ・ライト
5-2インチライザー
6-エイプバーハンドル
7-2.2ガロン/マスタングタンク加工
8-サンダンス製・オイルタンク
9-ワンオフ・コブラシート
10-5インチ・フラットフェンダー
11-ワンオフ・シッシバー
12-ワンオフ・ドラッグマフラー
13-1.5インチ・ベルトドライブ
14-ノンロッカー/ジョッキーシフト
15-ミッドステップ
16-SUキャブ/ファンネル
17-ダーク・ガンメタリックペイント


2009年最後にシックス・モーターサイクルからお送りするカスタムは、ソフテイルをベースにしたライト・チョッパー、当店では毎度おなじみの王道路線まっしぐらというスタイル。今回は特にベース車が1985年式の初期エボ・ソフテイルと言うコトで、年式相応のヤレが各部に見受けられたので、まずはそのお色直しから始めることとなった。エボと言ってもショベルのデリバリー終了時からそうは変わらない年式なので、フレームや外装だけでなく内部のヘタりもショベル並みなのである。特にショベルとは違いエボはその近代的なエンジンの造形からくるイメージ上、いわゆる旧車的ヤレ感はまったく合わない。大阪風に言えばエボは美しくてナンボである。そんな訳で、カスタムがどうのとか言う前にフレームは古びたペイントを全剥離してリペイントを施しエンジンもミッションも全バラ、ベース車として完全レストアを行なった。その効果は、このチョッパーを見て初期ソフテイルの特徴を知らなければスタンダードシリーズの高年式エボと見間違うような出来に仕上がっている。
純正ソフテイルには無いナロー・グライドフォークや小さなタンク、タイヤにぴったりと沿ったフラット・フェンダーがこのスタイルの特徴ではあるが、個人的にはやはり、この年式前後の独特の4速ミッションが印象的だ。エボと言えば5速ミッションが普通だが、エボが登場した年から数年間は車種によってはショベルと同型の4速ミッション搭載モデルがあったのは皆さんご存知かと思う。現行のハーレーと言えば、いかにもオールドモデルをイメージさせるようなデザインが主流なので、それに惹かれて購入を決めた人も多く、そのため新型のハーレーに乗っていて、スイッチポンのセル始動で日々を過ごしていても、頭の隅では旧車的なエンジン始動法としてキックスタートが気になるハーレー乗りも多いと思う。時が経ち購入時の興奮も冷め、もしあなたがそろそろ何かワイルドでオールドテイスト溢れるカスタムをしたいなと考えキックの選択肢が上がる人の場合には、エボ5速ミッションに後付けキックを付ける手段もまた多いカスタムプランである。しかし、5速ミッションにキックを付けるとなると実際のところいろいろと不都合が多く、最初からキック始動を前提に設計された4速ミッションのようにはスムーズにはいかない。それならば、今回のようにオールドテイストにカスタムするのなら、最初から4速ミッションが搭載されている初期型エボシリーズをカスタムのベース車に選ぶというのは賢明な選択かも知れない。あなたの思うよりずっと完成度の高いスマートなカスタムを仕上げることが出来るはずである。


ボトムケースをブラックペイントしたショウワ製35ミリフォークにベイツタイプ4.5インチ・ライトの組み合わせは王道スタイルで今ではかえって潔い。2インチライザーにセンター部分をカットして幅詰めしたエイプバーにグリメカ・ブレーキセットもシックスならではの捻りなし仕様だ。2.2ガロンのマスタング・タンクはトンネル加工を施し、取り付け位置と外観の見た目を調整している。旧車ならダメ出しを喰らいそうなミニメーターはエボチョッパーなら、かえってあった方が良いのではないかと思える。

腰下まで全バラ、隅々までリフレッシュされたエンジンは外観もクランクケースまで本当にピカピカ、このソフテイルが85年製造だということを忘れてしまう。キャブはヘッドカバーと同じ様な質感のポリッシュSUキャブレターに小振りなファンネルを多少加工してセットした。ドラッグパイプは一見既製品かと思いきやよく見るとフロントパイプがダウンチューブをグルリと避けるように切り貼りされたワンオフ・マフラー。バレル型のオイルタンクは名店の誉れ高いサンダンスのものを使用した。


プライマリー側も1.5インチ・オープンベルト仕様なので実にすっきりとしたもの。もちろん、セルモーターは取り外されているのでキックオンリー始動。4速ミッション・キック仕様ならポイント点火と合わせると複雑な構造を必要とする5速とは違い本来のキック始動を堪能できるのでラクラク始動。これぞ、4速エボの醍醐味と言える。これならば、キックオンリー仕様のバイク乗り始め時で、よく苦労するキック始動に気を使うことないので、ジョッキーシフトやノン・ロッカークラッチの扱いも最初から十分堪能できるはずだ。

写真ではチト見ずらいが、肉抜きの窪みのないフラットなスイングアーム基部やエンド部が角フレームのような造形のアクスルが初期ソフテイルの大きな外見的特徴。リア廻りはリジッド加工の後、5インチ・フラットフェンダーをストレートなワンオフ・シッシバーで固定。ほど良い厚みで製作されたダイヤモンドステッチのコブラシートがフレームとフェンダーにぴったりと合うところはやはりワンオフものの強みか。外装と同色にペイントされたデュオテールのクラシックなデザインは、このようなスタイルには良く似合う。


NOV .2009